目次
正直なところ、以前は牛池湾にある彩虹邨に対して片面的で一般的な印象しか持っていませんでした。近年、彩虹邨と言えば多くの人が真っ先に思い浮かべるのは「フォトスポット」です。その七色に彩られた建物の外壁と、あのクラシックなフォトスポットは彩虹邨の象徴です。クラシックなフォトスポットの美しい写真はすでに多くの人に撮影されており、あえて私がその場に立ち入るのも無粋な気がします。その知名度は外国人観光客、写真家、さらには有名人までもがわざわざ訪れて撮影するほどで、彩虹邨の知名度が世界的であると言っても過言ではないでしょう。
しかし、彩虹邨のクラシックなフォトスポットのイメージがあまりにも深く根付いているため、最初に屋邨巡りを計画したときには逆に躊躇してしまいました。多くの人が紹介しているし、インターネットで検索しても歴史的な情報が豊富で、地元の人々の口述歴史も多岐にわたります。どこから手を付ければいいのか分からず、優れた記事が多くある中で自分が書くことにプレッシャーを感じることもありました。
しかし、考えを巡らせた結果、自分の視点で巡り、集めた情報を元に自由に書いてみることにしました。
三度目の彩虹邨巡りの裏話
意外なことに、彩虹邨をもっと詳しく巡るために、結局三回訪問することになりました(そのうち一回はフォトスポットでの撮影のためでしたがwwwww)。しかし、彩虹邨にはフォトスポット以外にも一定の魅力と見どころがあり、もっと知りたいと思わせる場所です。
彩虹邨の前身は、九龍十三鄉の一つである沙地圍でした。『華僑日報』によると、かつて彩虹邨の場所は木造住宅地や農地で、「多くの地域は廃棄物の投棄場所としても使われていました。」この地域が完全に整備されたのは1960年のことです。
屋邨の歴史に関しては、彩虹邨は1962年から1964年の間に段階的に入居が開始されました。現在の香港の屋邨の中で、彩虹邨は模範邨と西環邨に次いで歴史が古い屋邨の一つだと思われます。(彩虹邨と同年に入居が始まった屋邨には、福來邨と馬頭圍邨もあります)
過去の報道を見てみると、彩虹邨の建設は大規模なプロジェクトであり、政府やメディアからも大いに注目されていたことがわかります。『華僑日報』と『香港工商日報』によると、彩虹邨は屋委会によって建設された7番目の屋邨で、当時の建設費は5000万香港ドルにも上り、当時の屋委会の建設計画の中でも最大規模でした。この重要なイベントを記念して、1963年12月18日には香港総督の柏立基爵士が除幕式を行い、その際の銘板は現在も屋邨の入口通路に設置されています。
彩虹邨全体には11棟の大廈があり、7階から20階までさまざまな高さの建物があります。そのため、建物は高低差があり、バランスよく配置されています。建物の名前も彩虹邨の名前にちなんで、色をテーマにしています。
背後の歴史を語り終えたところで、次は体験談です
彩虹邨を巡ってみると、実際の屋邨の広さは想像以上でした。各施設の配置は密集しておらず、広々としていて、屋邨内の静かな環境が快適な歩行体験を提供してくれます。外の喧騒や混雑とは対照的です。
屋邨設計はバウハウスのシンプルで実用的なスタイルを採用し、建築士協会の賞を受賞
今日の彩虹邨は、基本的な施設がすべて揃っているため、一見普通に見えるかもしれません。例えば、マーケット、店舗、郵便局、遊び場、学校、コミュニティセンターなどです。しかし、これらの施設は当時としては非常に前衛的かつ充実した計画であり、非常に貴重でした。さらに、屋邨の設計にはバウハウススタイル(Bauhaus)が取り入れられ、大廈や各ユニットのデザインは機能性と透明性を重視し、シンプルなラインが特徴です。各ユニットにはリビングルーム、バルコニー、キッチン、トイレとバスルームがあり、当時としては非常に高品質な住環境でした。そのため、彩虹邨は1965年に香港建築士協会の年間最高栄誉「銀牌賞」を受賞し、当時のアメリカ副大統領ニクソン、マーガレット王女、アレクサンドラ王女夫妻、香港総督マクレホーズなど多くの要人が訪れました。
今でも小さなお店がたくさん残っています
のんびり散策する彩虹邨はとても楽しい体験でした。屋邨にはショッピングモールがなく、多くの大廈の地下に市場や商店街が設けられています。邨内には古い店舗が多くあり、それぞれに歴史が感じられます。例えば、現在ではあまり見かけない「旗昌辦館」や歴史を感じさせる「金碧酒家」、「李應記鐘錶行」、そして昔ながらの港式ファストフード店「愛群快餐店」などがあります。また、MIRRORの最初の英語曲「Rumours」のMVや映画のロケ地としても使用された「華麗理髮公司」などもあります。個人的には、現在では非常に珍しいレンタル漫画店「漫畫世界」と肉屋「彩虹肉食公司」も特筆すべき存在です。
初めて訪れたときには、古い店舗の装飾が印象的でした。小さな食べ物屋でおやつを買ったとき、その価格が学生時代の価格と同じくらい安く、非常にお得だと感じました。例えば、5香港ドルで3個の揚げスカラップを買うことができました。
屋邨の名前や外壁の色に込められた工夫
屋邨の最大の特徴は、大廈の外壁が虹の七色に塗られていることです。さらに、邨内の7つの通りの名前も虹の七色にちなんでおり、例えば紅梅路、橙花路、黄菊路、緑柳路などです。屋委会がどれほど心を込めてこの屋邨を計画したかが分かります。もちろん、屋邨は60年以上の歴史がありますが、途中で大規模な改修が行われたため、今でも古さを感じさせないのです。
クラシックな大廈の七色外壁を撮影するためには、駐車場の屋上に行く必要があります。屋上は庭園やバスケットボールコート、バドミントンコートがあり、多くの人々がここで休憩したり遊んだりしています。これもまた、街の人々の日常生活の一部として美しい風景を作り出しています。
インターネットで彩虹邨の住民が話す生活の様々なことを調べてみると、彼らが屋邨に対して強い帰属意識を持ち、屋邨を定住に適した場所として認識していることがわかります。彩虹邨は多くの人々にとって美しい思い出が詰まった住みやすい場所であることは間違いないでしょう。
PS:気づいたら、こんなに長い記事を書いていました。まさか1時間以上もかかるとは思ってもいませんでした(汗)。ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。
屋邨の情報
所在地:牛池湾紫葳路5-19号、黄菊路2号、緑柳路2-8号、青楊路2、11号、紅梅路1-5
入居年:1962年から1964年
棟数:11
建物タイプ:旧長型
建物名:翠瓊楼、紫薇楼、紅萼楼、金漢楼、錦雲楼、金碧楼、金華楼、緑晶楼、碧海楼、白雪楼、丹鳳楼
參考資料
- 『彩虹邨廉租廈兩幢建至頂層 預料不久即可接受入住申請』、『大公報』、1962年2月16日
- 『彩虹邨落成 總督主持揭幕 景韓縷述建屋大計』、『華僑日報』、1963年12月19日
- 『Bing Kwan建築與藝術』、『信報財經新聞Lifestyle Journal』、2014年4月14日
- 『灣仔街市真是包浩斯建築嗎?』、『香港電台通識網』、2018年4月23日